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矢印 行政書士
 

私が真心込めて誠実に対応させていただきます。
 
行政書士:瓜生浩輔
(九州生,岡山育ち。
  昭和40年生まれ46歳)


真心と誠実をモットーに
 
 はあとふる法務事務所


矢印 方針
  当センターは離婚を進める立場でも,反対の立場でもありません。相談の中で,関係の修復も含めて,より良い解決策を見出して移行する立場です。


NEWケースその16
事故で重度障害者となった配偶者に対する離婚請求
飲み会に出席していた夫は,ついつい楽しい酒宴の雰囲気の中飲みすぎてしまった。足下が少しおぼつかないが,「まあ大丈夫だろう」と自転車で帰宅をすることにした。

その時に悲劇は起こった。自転車は飲酒運転でふらつくだけでなく,無灯火であったため自動車と衝突。そのまま,夫は入院することになった。その入院生活の間,はじめの6ヶ月間は,妻は1歳の子どもを抱えながらもつきっきりで献身的に看病を続けた。

その後も,毎日のように病身を訪ねては看病を続けた。

3年後,ようやく夫は退院できた。しかし,夫はほぼ寝たきりの状態で,生活において全介助を要した。毎日の全介助を続ける生活で妻には身体的疲労がたまっていった。夫は寝たきりではあったが,意識ははっきりしており,妻との夫婦関係も毎晩のように求めた。しかし,神経まひのため十分な快楽は得られない。それでも毎晩求めてくる夫の態度に妻は次第に嫌気がさしてくるのであった。

そのような生活が2ヶ月ほど続き,次第に口論等も絶えないようになってしまう。妻は身体的,精神的に限界を感じ,ついに離婚を決意。夫については実家に相談し,障害者施設へ入所することになった。

離れて暮らすことになったが,夫が離婚に同意しないため,離婚訴訟を提訴することにした。1審では敗訴してしまう。

しかし,2審では妻の結婚生活への継続の意思の喪失によって,二人の婚姻状態はすでに破たんしているとして,離婚請求は認容された。

事故原因にはある程度の責任があるものの,障害という状況は事故に何の責任もないわけであるが,この現状の中で,ある意味社会的弱者となった夫に突き付けられた離婚は厳しい判断と言えなくもない。しかし,やはりそもそもの原因である事故に対し,夫自身の過失で招いた状態である点や,その後,妻は献身的に看病や介護を行ってきたという事実。また,実は夫が入所してから続いた夫婦の別居期間はすでに,夫婦での同居生活の期間を越えているという事実。それらを踏まえて,この離婚請求は認容された。



NEWケースその15
家事の協力が不十分な配偶者に対して,不貞行為を働いた配偶者側からの離婚請求
夫婦は結婚後,長男に恵まれました。その長男は喘息の発作があり,夜中等に発作で苦しむことがありました。

結婚して3年過ぎたころ,夫婦の間に二男が誕生しました。当然,生まれたばかりの赤ちゃんは泣くものです。昼夜関わりなく,突然泣き出すことがありました。妻も赤ちゃんの養育は長男で経験しているので,その対処が分からないわけではありません。

しかし,長男の喘息はまだおさまっていませんでした。妻は赤ちゃんの養育だけでなく,長男の看病にも追われることになってしまいました。

ある夜,赤ちゃんが夜泣きしました。妻はその対応のため起きて赤ちゃんのもとへ行こうとしました。しかし,その時,長男の喘息の発作が重なりました。さすがに妻も対応できず,夫に手伝ってもらうようにお願いしました。

夫は「次の日,仕事だから」と言って,手伝う気配すらありません。そんな毎日が続きましたが,やがて,3年の月日が流れ,子どもの養育も少し楽になってきたころ,妻の妊娠が分かりました。

大変な毎日の中でも,待っていれば幸せが訪れる。妻はそう感じていました。

しかし,妊娠6ヶ月を過ぎようとするころ,大きな悲劇が家族を襲いました。長男が難治性の病気を患って入院することになったのです。身重な体で妻は長男の看病のため入院先の病院で付添をすることになりました。

二男は,妻の妹が預かることになりました。

不幸が続きます。やがて,妻は出産しますが,赤ちゃんの心臓部に病巣が見つかり,そのまま集中治療室で治療を受けることになってしまうのです。

妻は,悲しむ間もなく,長男と赤ちゃんの看病に追われます。両者は違う病院に入院していたので,それらの病院を往復する毎日は心身ともに疲労困憊の日々でした。

夫は週末に,妹に預けている二男の世話をしたり,時折,病院に顔を出す程度で,妻の助けになるような行動は取っていませんでした。そんな中,妻には絶望感や孤独感が襲ってきます。

半年近くにわたる,献身的な看病もむなしく,あかちゃんは天国に召されてしまいました。長男は幸いにも退院したものの,夫がショックから立ち直れず,実家に帰ってしまいました。

その後,夫は戻ってきて,また家族での生活が始まった。しかし,相変わらず,夫は家事や子どもの養育に十分な協力をせず,妻の不満は高まり,徐々に気持ちが夫から離れていったのでした。

しかし,子どものことも考え,妻はそのような気持ちを押し殺し,従来通りを演じ続けていたのでした。

そういつ生活が何年か続いたおり,妻は高校の同窓会で同級生と恋に落ちてしまいます。同級生にも妻子はあって,気がとがめながらも,こみあげてくる感情を抑えきれず,妻は同級生と性的な関係におちていってしまいました。

そうなると,押し殺していた気持ちが解放され,妻は夫との離婚を望むようになります。夫は拒否するものの,たまり続けていた不満を爆発させて妻の気持ちは収まりません。

そして,妻は離婚調停を申し立て,不調に終わると離婚訴訟を起こしました。

夫は訴訟において妻の不貞行為を持ち上げ,有責配偶者からの離婚請求は認められないとしました。

しかし,裁判所は婚姻破たんを招いた責任は妻の不貞行為だけではないとし,さらに,婚姻はすでにその時に破たんしていたと言えるとして,請求を認め,夫婦は離婚しました。

同級生と妻の関係がその後どうなったのかはわかりませんが。

ケースその14
30年以上別居し,未成熟子のいない夫婦の,
有責配偶者からの離婚請求
夫婦は結婚後10年以上子供に恵まれませんでした。そこで,とある女性の子ども2人を養子縁組し養子として迎えることにしました。

ところが,その女性と夫婦の夫が恋に落ちてしまいます。その流れは止められず,翌年,二人は同棲を始めてしまいました。

当然,夫婦は別居生活を送ることになりました。

この場面での夫婦生活の詳細は明らかではありませんが,10年ほどの夫婦生活の中で夫婦の心の中にすれ違いが起きていたことは想像されます。

まもなく,夫とその女性の間に子どもが生まれます。

妻は夫名義の不動産を,許可を得て処分し,その売却費用を生活費にあて,生活の場は自分の兄の人部屋を借りることにしました。

夫婦の間に依然として何かしらの疎通があったとは思えず,夫婦間の関係はこの時点で冷めていたのでしょうか?心の中のことなので,想像するしかありませんが。

夫は女性との間にできた子どもが1歳になろうとするころ,離婚を決意し,離婚訴訟を提起します。離婚裁判は3年に及び,その間,夫と女性の間にはもう一人子供が生まれました。

その離婚裁判では請求は棄却されてしまいます。夫は女性との間の子を認知し,そのまま,何と30年ほど同棲,別居の状態が続いてしまいます。

様々な状況,心境はあるでしょうが,女性との間に生まれた子どものことを考えると,夫婦間でもっと,解決策はなかったものかと思われます。

そして,夫はふたたび,離婚調停,そして離婚訴訟を提起します。1,2審では棄却されたものの,最高裁は従来原則として否定していた有責配偶者(この場合は女性と関係をもった夫になります)からの離婚請求を次のような場合は特段の事情のない限り認められるとして原審に差し戻しました。

その場合とは次の通り,

年齢及び同居期間と対比して相当の長期間夫婦が別居している。

夫婦の間に未成熟子がいない。

相手方(有責ではない)配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的にきわめて過酷な状態に置かれる等離婚請求を容認することが著しく社会正義に反すると言った特段の事情がない。

上記のような場合には,有責配偶者からの請求であるとの一事を持って許されないとすることはできないとしました。

結局,この後,夫婦は相応の和解金を夫が支払うことで離婚が成立しました。

長い,長い,夫婦という形に波紋を投げかけた争いでした。

ケースその13
信頼できない,生活態度が悪い,さらに性格の不一致などを理由とした配偶者への離婚請求
医者と看護師といった関係の二人が,婚約し同居を始めた。その後,その看護師が過去の男性関係を隠していたことを婚約相手の意思が知り,いったん婚約は解消された。

婚約は解消していたが,同居は続け,やがて看護師は妊娠する。

それを機に二人は結婚。やがて,その後4人の子どもに恵まれることになる。

最初の子を妊娠してから2年ほどたったころ夫は医院を開業。妻は子育てだけではなく,医療事務,看護師等の仕事も行う。やがて妻だけでは対応できなくなり,夫の従兄弟が同居し,医院を手伝う。

ただ,妻の働きぶりは夫からみて不足していたようである。夫の従兄弟もその働きぶりに不満で,夫の従兄弟と妻の間に軋轢が生じてしまう。夫はそれらを修復することもなく,妻に対して冷たい態度をとった。

それに耐えかねた妻は自殺未遂を図る。夫は妻を介抱し,一命をとりとめた。しかし,そのような妻の行動,態度に理解できない夫は離婚を考えるようになる。

自殺未遂後,肺炎等で入院し,その後は親戚宅で生活していた妻であるが,そのまま夫婦は同居することなく,妻が子どもを引き取って別居する。

別居後1年ほどたつ時,夫から離婚協議を持ちかけ,それ以来,子どもは夫が引き取り夫の側で養育されるようになった。

夫は協議に折り合いがつかないため,子の養育の苦労等を含め慰謝料100万程度の離婚を請求した。

裁判所は妻の生活態度についての問題を認めたものの,医院の手伝いなどは十分に責任を果たしていると判断。さらに,双方の性格上の違い,また,信頼性の問題はいかなる夫婦でもありがちな事柄の範囲であるとし,この程度では婚姻を継続しがたい重大な理由とならないと判断した。

結果,夫の離婚請求は認められなかった。

ケースその12
異常な性癖のある配偶者への離婚請求
結婚して1年半ほどで夫婦に間に子どもが生まれる。

その翌年にそれまで生活していたアパートでは狭いので,一戸建ての住宅に転居した。

そのころから,夫がポルノ雑誌に夢中になり,自慰行為に耽るようなる。そして,妻との性交渉を拒否することもみられるようになった。

それでも,二人目の子どもがどうしてもほしかった妻は,夫に頼みこみ性交渉に応じてもらう。その結果,転居して2年後には二人目の子どもに恵まれる。

ただ,その後もポルノ雑誌を見ながらの自慰行為,妻との性交渉の拒否は続いていた。また,夫の異常な行動はそれだけでなく,無賃乗車を繰り返したり,ゴミ箱をあさって物を拾ってきたりする等もしていた。そこで,出産の翌年,妻は離婚を決意。その気持ちを夫に訴える。夫は離婚には否定的で,ポルノ雑誌への傾倒,妻との性交渉の拒否,その他の行動などを改める旨を妻と約束した。

しかし,その後も改まることなく同様の状態が1年ほど続いたので,妻は家を出て,別居を始めた。その後,妻は離婚と慰謝料の請求を裁判所にする。

妻の請求は認められ,夫婦の離婚は成立し,夫は妻に慰謝料を支払うことになった。

ケースその11
出張や外泊の多すぎる配偶者に対する離婚請求
結婚後数年で子どもに恵まれる。結婚が10年ほど,何事もなく結婚生活が続いた。

その後,ある仕事上のきっかけで夫は他県への出張が増え,それにともない外泊も増えていった。

夫は外泊が増えるだけでなく,生活費も家族に渡そうとしなくなっていった。そこで,家族は翌年に夫の出張先へ引っ越すことにした。

すると今度は夫はまた違う県への出張や外泊が増え,生活の大半を他県ですごし,生活費も数万円しか入れていなかった。

実はこの時,夫も事業がうまくいっておらず,満足に生活費を送金できない状況であった。

翌年から夫の生活費に頼れない妻は自分で仕事を見つけ子どもとの生活を維持していくことにした。その数年後,自宅を購入するまでなるが,その翌年ころから夫は生活費を一切いれなくなって,帰宅すらしなくなった。

その後,半年ほどたった時に夫の暴力がきっかけで妻は子どもと家を出ることになった。

この件で妻は夫に対して,生活費も入れず,外泊が続く状況から「悪意の遺棄」として離婚請求した。

裁判所はこの状況で「悪意の遺棄」に当たるにはやや足りないとしながらも,夫の行為が同居協力扶助の義務を十分に尽くしたと言えず,「婚姻を継続しがたい重大な事由」にあたり,その責任の多くは夫側にあるとして妻側からの離婚請求を認容した。

ケースその10
同性愛者の配偶者に対する離婚請求
この男女は婚姻届を出す前から同棲を始めていた。同生後半年もたたないころから,女性が性交渉を求めても,男性側が応じない状態があった。

しかし,当初の性交渉によって妊娠が分かり,二人は結婚をすることになった。間もなく子どもも無事出産し,一見普通の夫婦に見えた。

しかし,実は夫は同性愛者であった。子どもが生まれて数年後,夫は他の男性と同性愛の関係になり,その関係は3年ほど続いていた。

その関係を知ることになった妻は驚きのあまり,夫との別居を決意し,その後は別居生活をしている。

妻はその後離婚請求をする。その結果,同性愛の不貞行為を続け妻との性交渉を拒否している。また,同性愛者であることを隠していたたといった両面から,夫婦間の信頼関係は崩れ,婚姻生活を継続しがたい重大な事由に相当するとし,請求は認容された。

ケースその9
配偶者と同居する自分の両親との
不仲を改善しなかったための離婚請求
夫婦は結婚後,夫は婿養子となり,妻側の両親と同居することにした。妻はもともと病弱であり,そこに長男の妊娠で家事がほとんどできない状態になった。

夫はそのため家事の多くを担当し,家計は妻の親が担当した。夫は仕事に家事に追われる毎日で会ったが,同居する妻の両親はそれが当たり前との態度をとり続けた。

妻の両親は次第に横暴な態度を見せ始める。

長男が誕生したが,夫には一切かかわらせず命名も両親で行ってしまう。その後数年に及び,両親の夫への嫌がらせとも言える行動は続いた。

例えば,長男の面前で夫の学歴,社会的身分,家柄などを蔑視するようなことを平気で言うこともあった。また,家のものがなくなると夫が盗ったと言い,来客に対し,残菜は夫に食べさせるからなど言いふらすなどした。

そういった態度は10年近く一向に変わらず,夫は遂にたまりかねて家を出る。周囲の説得もあり,いったんは家に戻るが,妻も両親と夫の関係改善を一向に行わず,逆に両親の側について,夫を孤独にさせるなどした。

そこで,夫はまた家出をする。その後別居状態となり,別居後,5年が経とうするころには夫は別の女性と深い関係になってしまう。そして,その3年後にはその女性と夫は同居を始めることになった。

そこで,夫は正式に離婚の請求を行う。この場合,夫には関係を持った女性がいるものの,その女性との関係が夫婦生活の破たんの原因となったものではないので,夫が有責配偶者とはいえないとされた。

その上で,夫婦の状態は別居時に破たんに瀕しており,さらに,別居も8年に及ぶ長期であることから,婚姻を継続しがたい重大に事由があるとして離婚請求が認められた。

ケースその8
配偶者の浪費ともう一方の配偶者の経済的虐待を理由とする離婚請求
結婚後,夫婦の財産管理は両者の話し合いのもと妻が行うことになった。結婚5年経過するころには2人の子どもに恵まれる。

下の子どもが中学校に進学しようとするころから,妻の浪費が少し目立ち始める。さらに数年後,上の子どもの進学のための教育費,自宅の増改築などにあてるため妻が複数の銀行から借金し始める。

その後2年経過するが,妻の浪費は収まらず,借金が500万円近くになってしまう。夫はそれまで妻の浪費に気づかなかったのであるが,妻に借金のことを相談され,それではいかんと,財産の管理は夫が行うことになった。

それからは夫が生活費として妻にいくらかを渡す方法に変えた。しかし,妻は以前に作っていたカードで浪費を続けてしまう。その状況は5年くらい続く。

それらの浪費のために支払督促を受けた夫が借金を返済することになるが,夫婦の関係を改善するため夫婦で調停を受けることした。

その調停の結果,妻が借財をする場合には夫に相談することで夫婦ともに合意した。

5年後,夫は退職する。それを機に夫は生活費を妻に渡さなくなる。その状態が続くので婚姻費用の分担の調停を行い,夫は妻に毎月7万円を支払うことになる。

しかし,その後すぐに夫は妻に離婚を求め,離婚調停になる。その調停は不成立に終わるが,夫は自宅を出て別居を始める。

そして,ついに双方が相手を有責をする離婚裁判を申立てする。

夫は妻の浪費と家事の放棄を請求する原因とし,妻は夫の暴力と経済的虐待を請求する原因とした。夫は離婚だけでなく,慰謝料を請求し,妻は離婚だけでなく慰謝料と財産分与を請求した。

結局,妻の浪費には夫の家事への無関心も影響しているとして,夫の慰謝料は認められず,夫の暴力は認められず,経済的虐待も虐待にあたるほどではないとされた。

ただし,双方が離婚を望んでいるので離婚請求は認容し,自宅等の双方のものと言える財産は,分けることになった。

ケースその7
有責配偶者ともう一方の配偶者双方からの離婚請求
結婚後1年。夫婦は長男に恵まれる。しかし,そのころから妻と夫の母親の仲が悪くなってきた。

さらに2年後には長女にも恵まれる。それを機に,夫の両親,妹と同居するようになる。以前から仲の悪かった妻と夫の母親の関係は同居によってさらに悪化することになった。

夫は母親側につき,妻をかばうどころか,妻が別居したくなるように仕向けるような行動をとっていた。そのため,夫と妻は家庭内別居状態となってしまった。

半年後,夫婦間で離婚についての話し合いがもたれた。しかし,結論は出ず,結局妻は実家に帰ることになる。

別居中,夫は妻への生活費の支払いを拒み,その状態が8年間続く。

その後,夫婦双方から離婚請求がなされた。

この場合,有責配偶者(悪意の遺棄,協力扶助義務違反)である夫からの離婚請求は一般的に認められないが,妻からも離婚請求がなされており,婚姻を継続しがたい重大な事由があるとして,双方からの離婚請求が認められた。

ケースその6
:働く意欲に欠くなど,問題のある配偶者に対する離婚の請求
子どもが生まれた約半年後に二人は結婚した。はじめは夫の両親から仕送りを受けながら生活していたが,夫の就職を機に,仕送りを断り,経済的に独立することになった。

しかし,就職は長続きせず,二人の生活は困窮を極めることになる。

二人目の子どもも生まれるが,相変わらず夫は仕事が長続きせず,生活費は妻が内職をして稼いでいた。

内職では生活の糧には十分ではないので妻は水商売で生計を立てることにした。夫も賛成であったが,かといって子どもの面倒を見ようともせず,だらだらとした生活を続けていた。

その様子を聞いた夫の両親は子どもたちを自身の家に連れて帰ることにする。

それでも変わらない夫の生活態度愛想を尽かし,妻は別居を決意した。

夫はいったん仕事に就くが,すぐにやめる。そして,妻の行動に対して自身のことを反省するどころか,女を作ってみたり,離婚をほのめかしたり,妻が離婚に応じそうになると,これを撤回したり,妻に対しての嫌がらせを続けた。

さらに,夫は別居をした妻に対する報復として,行方をくらました上,妻に対して反省するよう強制する等の手紙を送り付けてきた。その中で,行方をくらました理由として,妻からの離婚の請求を不可能にさせるためであると伝えてきた。

この場合,裁判所は夫の勤労意欲の欠如や,それに加えて夫婦共同生活を営もうとする意思の欠如を認定して,婚姻を継続しがたい重大な事由であるとして,妻の離婚請求を認めた。

ケースその5
:性交不能の配偶者に対する離婚の請求
この夫婦は見合い結婚であった。

見合いご交際を始め,1年の交際の後,結婚をした。そして,新婚旅行へ1週間以上の日程で行った。しかし,交際中も,新婚旅行中も一度も性交渉はなかった。

実際には配偶者が性交不能の状態であることがわかったが,婚姻に際し,配偶者側から性交不能であるといった告知は一切なかった。

そこで一方の配偶者側から「婚姻を継続しがたい重大な事由」に当たるとして離婚請求がなされた。

裁判所の判断では結婚当時,当事者同士の中で性交渉を重視しないなどといった別段の取り決めがあるわけでなく,性交渉の有無は婚姻の重要な要素であるとして「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当するとされた。

また,性交不能を告げなかった点は信義則に照らし違法であるとして,慰謝料の支払いを命じた。

ケースその4
:宗教活動をする配偶者に対する離婚請求
結婚当時,入信していなかった妻であったが,結婚後3年たったころにある宗教団体に入信する。
1年ほどたったころ夫がそれに気づき,あまりよく思っていなかった。それを伝えても,妻は信仰を深め,5歳になる子どもを連れて集会等にも参加するようになった。

夫が報道で,妻の宗教思想が非常に偏っていると知り,信仰を辞めて,集会への参加を禁止した。それでも,妻が墓前で手を合わせない,地元の祭りの参加を拒否する,正月の初もうででの参拝の拒否など続き,それに対する夫の暴力が始まる。

結婚5年後には,妻が実家に帰り,夫婦は別居となる。別居が約7年になろうとするころに夫が離婚の請求を行った。

この場合,暴力行為をしたいわゆる有責とも言える夫側からの離婚の請求が認められるのかとの判断も考えられた。しかし,破たんの要因は信仰上の食い違いであり,この部分において,夫のみの責任と言えず,妻の側にも責任があるので請求が認められ,さらに婚姻関係が破たんしているとして,離婚も認められた。

ケースその3
:性格の不一致などを理由とする離婚請求
妻が出産後,子どもの養育に熱中し,以前ほど夫が期待していた教養ある会話が成り立たなくなってきた。そのことを妻に指摘するたびに口論になった。

結婚当初,些細な口論から妻がヒステリー性の発作を起こすようになり,上記のように口論になると,妻はいつもではないが,発作を起こすようになっている。

口論をしても,妻の養育や家事に対する熱中は変わりなく,夫が期待していた妻の像と現実の姿のギャップはどんどん大きくなっていった。

結婚5年後,そのような妻に愛想をつかし,夫は別居を決意した。

その翌年に夫は離婚調停を申し立てるが,調停が3年に及ぶも不調に終わる。

別居生活は継続し,そして結婚10年後に夫は2回目の調停を申し立てる。しかし,これも不調。

そこで,そのまま夫は離婚訴訟を提起した。

地裁では離婚の原因は夫のわがままであると請求は棄却されたが,控訴し,高裁では離婚の原因は夫のみの責任ではなく,夫婦の人生観・性格の不一致にあるとし,さらに婚姻関係が完全に破たんしているとして,請求は認容された。


ケースその2:親族との不和などを理由とする離婚請求
別居していた妻の母親が少しずつ,夫婦の住居に居座るようになってきた。妻の母親はよく夫をなじるため,夫と妻の母親はとても不仲であった。

そういう中で,妻と妻の母親は夫に相談もせず,同居と同居に向けての増築計画の相談をしていた。夫はそのこと知ってからは妻に対する不信を募らせ,また,妻の母親に自宅に戻るよう強く要求した。

結局,妻の母親は自宅に戻ることになったが,今度は妻が夫の母親に対して夫の悪口を言うようになった。

夫の妻へ対する不信は極限に達し,家庭内の会話はないばかりか,夫は自宅の自室にこもりがちになってしまう。妻が執拗に話し合いを求めた結果,夫は家を出て別居生活が始まった。

夫婦の別居生活が2年半ほどに及んだ時に夫から家庭裁判所に離婚の請求。

しかし,6年余りの夫婦生活と比べ,別居の期間はさほど長くないことや,婚姻関係の回復はまだ期待され,婚姻関係が破たんしているとはいえないとして離婚の請求は棄却された。


ケースその1:離婚原因が,虐待か女性関係かが争われたケース
別居後に,女性と関係をもった夫が妻に対し離婚請求しました。

夫側の言い分は,離婚の理由は,妻の夫に対する無理解や虐待によって引き起こされたものであるとして,自分は離婚の原因の責任を負っているものではないとし,離婚を請求したのです。

妻側の言い分は,婚姻関係破綻の直接の原因は夫の女性問題であって,それにより別居に至ったのであるから,離婚原因の責任は夫にあるとしました。

妻の言い分からすれば,夫側に責任があるので有責配偶者からの離婚請求は認められないのではないかとの見方もできたよう。しかし,事実関係を整理したところ,多忙により帰宅の遅くなった夫を,妻が家に入れない,また,事実無根の情報を会社上司に言いつけるなどの妻の夫に対する無理解な虐待行為が別居の原因であることが分かりました。

そういう,婚姻関係が破たんした状況の後で,夫は女性と関係をもったことも明らかになり,婚姻の破たん原因が夫にないことが認められ,離婚請求は認められました